「長期優良住宅を考えているけど、メリットはどれくらいあるの?」
「長期優良住宅は、固定資産税が上がるデメリットがあると聞いたけど、本当?」
そんなお悩みを持っていませんか?
長期優良住宅は、世代を超えて住み続けられ、節税に繋がるメリットがあります。その一方で、完成までに時間がかかり、維持メンテナンスに費用がかかることも。
この記事で解説するメリット・デメリットを知ることで、長期優良住宅を建てるかどうかの判断ができるようになるでしょう。品質の高い家を建てることで、長く住み続ける家の安心を手に入れられます。しかし、長期優良住宅を建てるコストを教育資金に回すことも選択肢のひとつです。
家は高額な一生に一度の買い物だからこそ、しっかりと考える必要があります。長期優良住宅を建てて後悔しないためにも、ぜひ最後までお読みください。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、国が定めた長期優良住宅制度の基準をクリアした家のことです。基準には、耐震性や省エネルギー性、維持管理のしやすさなどの項目があります。長期優良住宅の認定を受けるには、住宅を建てる前に申請することが必要です。
長期優良住宅の5つのメリット
長期優良住宅の5つのメリットを紹介します。長期優良住宅は、高い性能も持っているだけではありません。節税に繋がることや、補助金が受けられることなどの多くのメリットがあります。
- 世代を超えて住み続けられる
- 節税に繋がる
- 地震保険料の割引が受けられる
- 住宅ローンの金利が優遇される
- 地域型住宅グリーン化事業の補助金が受けられる
メリットが大きい順に解説します。
1.世代を超えて住み続けられる
高い性能を持っているため、快適な環境を保ちながら、世代を超えて住み続けられます。たとえば、耐震性を満たしているため、大きな地震でも損傷を抑えられ、修繕も少なく済みます。
また省エネルギー性の基準をクリアしていて、断熱性能が優れています。床暖房やエアコンが効きやすく、少ないエネルギーで生活が可能です。
2.節税に繋がる
長期優良住宅では、以下の4種類の税金が抑えられます。
- 住宅ローン控除が優遇される
- 不動産取得税が減税される
- 登録免許税の税率が引き下げられる
- 固定資産税の減税期間が延長される
控除される金額が大きい順に解説します。
住宅ローン控除が優遇される
住宅ローン控除とは、年末に残っている住宅ローンの残額の0.7%が所得税から13年間控除されることです。長期優良住宅は、一般の住宅に比べて控除となる上限金額が2,000万円も増額されています。一般の住宅と長期優良住宅の最大控除額を表にまとめましたので、参考にしてください。
住宅の種類 | 控除となる借入限度額 | 所得税の最大控除額(上限金額×0.7%×13年) |
---|---|---|
一般の住宅 | 3,000万円 | 273万円 |
長期優良住宅 | 5,000万円 | 455万円 |
この控除が適用される期間は、2022年~2023年に住んだ場合です。2024年〜2025年に住んだ場合は、一般の住宅は2,000万円、長期優良住宅は4,500万円が上限金額となります。
不動産取得税が減税される
長期優良住宅では、一般の住宅に比べて不動産取得税の控除額が増えています。
【基本の計算式】
不動産取得税(建物)=(固定資産税評価額ー控除額)×3%
【一般住宅の不動産取得税の計算式】
(評価額ー1,200万円)×3%
【長期優良住宅の不動産取得税】
(評価額ー1,300万円)×3%
不動産取得税の差は「控除額の差(100万円)×3%」なので、一般住宅と長期優良住宅では3万円の差があります。減税を受けるためには、2024年3月31日までに新しく建てることが必要です。
登録免許税の税率が引き下げられる
登録免許税とは、土地や建物の名義を変更するための登記申請をするときに、法務局に支払う税金です。長期優良住宅の場合は、登録免許税の税率が引き下げられます。一般の住宅と長期優良住宅の登録免許税の税率の差を表にまとめましたので、参考にしてください。
住宅の種類 | 所有権保存登記 | 所有権移転登記 |
---|---|---|
一般の住宅 | 不動産評価額×0.15% | 不動産評価額×0.3% |
長期優良住宅 | 不動産評価額×0.1% | 不動産評価額×0.2% |
所有権保存登記とは、新築の建物などの所有権の登記されていない不動産に、最初に申請される登記のことです。新しい持ち主に所有権を移動する登記のことを、所有権移転登記といいます。不動産取得税と同じく、減税を受けるためには、2024年3月31日までに新しく建てる必要があります。
たとえば、不動産評価額が2,000万円の家を新築で購入したときの登録免許税を計算します。
【一般の住宅の場合】
2,000万円×0.15%=3万円
【長期優良住宅の場合】
2,000万円×0.1%=1万円
長期優良住宅で評価額が2,000万円の家は、1万円税金が抑えられます。
固定資産税の減税期間が延長される
固定資産税とは、1月1日時点の不動産を所有している人に課税される税金です。条件を満たした新築住宅は、固定資産税が1/2に減額されます。減免期間が延長される主な条件は、以下の通りです。
- 住む部分の床面積の割合が、住宅の1/2以上あること
- 床面積が50㎡以上280㎡以下であること
一般の住宅の減税期間が3年間に対して、長期優良住宅は5年間に延長されます。
3.地震保険料の割引が受けられる
長期優良住宅は、地震保険料が30%~50%割引されます。長期優良住宅の基準のひとつに、耐震性をクリアしているためです。長期優良住宅は耐震等級2以上を満たしているため、30%割引されます。住宅によって最高等級の耐震等級3を満たしているときは、50%もお得になります。
4.住宅ローンの金利が優遇される
長期優良住宅は、住宅ローンの金利が優遇されることもメリットの1つです。たとえばフラット35には、通常の「フラット35」よりも金利が低い「フラット35S」があります。長期優良住宅ではフラット35SのプランAを利用できるため、10年間の金利がフラット35に比べて0.25%引き下げられます。
5.地域型住宅グリーン化事業の補助金が受けられる
長期優良住宅を建てるときに、地域型グリーン化事業の補助金が受けられることがあります。補助金は、ひとつの住宅につき最大140万円です。ただし、国土交通省の採択を受けた中小工務店で、建てる必要があります。
長期優良住宅の3つのデメリット
長期優良住宅には、多くのメリットがあります。しかし、デメリットとして完成までに時間やコストがかかることも。ここでは、3つのデメリットを解説します。
- コストがかかる
- 完成までに時間がかかる
- 維持保全のメンテナンスが必要となる
デメリットが大きい順に解説します。
1.コストがかかる
長期優良住宅は、設備や構造部分にグレードの高いものを使うため、一般の住宅よりも建築コストが20~30%高くなります。また、申請書類の作成や審査などに建築費用とは別に20~30万円程度必要です。コストを抑えたいときは、自分で長期優良住宅の申請することを検討してみましょう。
2.完成までに時間がかかる
長期優良住宅は建築前の申請が必要なため、一般の住宅に比べて1週間~1ヶ月程度、工事開始までに時間がかかります。完成までの期間に制限がある場合は、建てる前にハウスメーカーに確認しましょう。
3.維持保全のメンテナンスが必要となる
長期優良住宅は、建てる前に提出した「維持保全計画」に沿って定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠った場合に、認定が取り消される可能性もあります。そのときには、受けていた節税措置などの返還が求められることもあるため、注意が必要です。
長期優良住宅の申請方法
長期優良住宅は、建てる前に都道府県または市区町村などの所管行政庁に、以下の流れで申請します。
- 登録住宅性能評価機関に審査を依頼する
- 登録住宅性能評価機関から、性能が基準を満たしている照明の適合証が交付される
- 所管行政庁に申請する
- 認定完了し、工事が開始される
- 家の完成した報告を所管行政庁に報告する
登録住宅性能評価機関とは、国土交通大臣の登録を受けた住宅性能を評価する機関です。審査を依頼するときは、認定申請書や設計内容説明書などを揃えて提出しましょう。
まとめ
長期優良住宅は、世代を超えて住み続けられ、節税に繋がるなどの多くのメリットがあります。しかし、デメリットとして、コストがかかり、維持メンテナンスが必要となります。長期優良住宅は、建てる前に申請が必要になるため、ハウスメーカーと事前に相談しておきましょう。