「相続不動産の固定資産税は誰が払う?」
「固定資産税はいつ払えばいい?」
そんなお悩みを抱えていませんか?
固定資産税は毎年1月1日の時点で、固定資産税台帳に登録されている不動産等の資産に対して課税されます。相続をした不動産は、遺産分割協議中は相続人全員、名義変更したときは所有者が支払います。
具体的にどのくらいの費用がかかるのか、誰が払う義務があるのか説明していきます。不動産売却した場合の支払いについても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
相続不動産の固定資産税は誰が払う?
固定資産税は、1月1日に所有していた人が支払わなければなりません。たとえば、お父さまが1月15日に亡くなられた場合は、その年の納税義務はお父様にあります。しかし、12月30日に亡くなった場合は、翌年の納税義務は相続人全員です。
今回は、相続の時系列に沿って3つのパターンごとに解説します。
遺産分割協議中は相続人全員が負担する
被相続人が亡くなっても、様々な手続きの必要があるため、すぐに遺産分割協議が始まるわけではありません。遺産分割されるまでは、不動産は相続人全員の共有の資産になります。
遺産分割協議が終わるまでは、相続人全員に固定資産税の納税義務があります。支払う金額は、法定相続分の割合に合わせて計算します。しかし、この割合は法律で決まっているわけではありません。相続人の中で同意を得れば、代表者のみの支払いなど負担割合を変えられます。
名義変更したら新しい所有者が払う
遺産分割協議が終了し、名義変更したときには新しい所有者が固定資産税を支払います。次の1月1日からの固定資産税は、新しい所有者に支払い義務があります。
相続不動産を売却したら、売主と買主が支払う
売却するときは、一旦買主が全額負担します。売却した後に、売主と買主で日割りで支払うケースが一般的です。日割り計算の起算日は関東では1月1日、関西では4月1日が主流となっています。例えば起算日が1月1日の場合、1月1日から引き渡し日の前日までが売主負担、引渡日以降が買主負担になります。日割精算の他に、月割精算や売主と買主の話し合いで決定することも。
そもそも固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や建物、償却資産に課税される税金です。償却資産とは、機械や備品などの事業用の固定資産にかかる税金です。
固定資産税の金額を確認する方法
固定資産税の金額は、納税通知書で確認できます。納税通知書は東京23区は毎年6月1日、他の自治体は4~5月頃に役所から届きます。税率の計算は市区町村が行うため、確定申告のように計算する必要はありません。ただし不動産を共有している場合は、代表者のみに届きます。
固定資産税の納税方法
手元に納税通知書がある場合は、コンビニや郵便局等の窓口で支払います。クレジットカードは使えず、現金での支払いのため、注意しましょう。
納税通知書が届いていない場合は、被相続人の亡くなった日が1月1日の前後で手続きが異なります。
1月1日までに被相続人が亡くなり、相続登記が完了していない場合は、「固定資産現所有者申告書」を役所に提出しましょう。この届出によって選ばれた相続人に、翌年以降納付書が郵送されます。
1月1日を過ぎてから被相続人が亡くなった場合は、「相続人代表者指定届」を役所に提出しましょう。指定された相続人あてに納付書が届きます。
税金対策に繋がるケースとは?
場合によっては、固定資産税の支払い税金対策になることも。節税対策に繋がる2つのケースを解説します。
亡くなった日の時点で納めていなかったケース
相続税が課税されるケースで亡くなった日までに固定資産税を納めていなかった場合は、債務控除ができます。相続税の債務控除とは、相続財産の総額から納税分を引くことです。この控除によって相続税の課税対象となる財産が減り、相続税の負担が軽くなります。
準確定申告が必要なケース
準確定申告とは、亡くなった方の収入に対する確定申告です。亡くなった方が、駐車場やアパート経営などをしていたときに、準確定申告が必要となります。納税通知書が1月1日から亡くなった日までに届いていた場合に、必要経費として計上できます。
固定資産税の支払いが厳しい場合はどうする?
固定資産税の支払いが厳しい時の対処法は、5つあります。
- 不動産がある役所に相談する
- 金融機関に相談する
- 相続不動産を売却する
- 相続放棄をする
- リースバックを検討する
対処しやすい順番で説明します。
不動産がある役所に相談する
まず不動産がある役所の窓口で、相談しましょう。担当者と面談すると、どのような方法で納税すればいいか相談できます。それぞれの状況に応じて、分けて納めたり、税額が減少したり、納税を先送りにしたり、対処法を教えてもらえます。
金融機関に相談する
住み続けたい場合は、金融機関に相談しましょう。相続不動産を担保にして、お金を借りられる場合があります。メガバンクよりも、地方銀行や信用金庫のほうが審査が通りやすい傾向です。
相続不動産を売却する
今後不動産を利用しない場合は、売却を検討しましょう。相続不動産を売却すると、今後の固定資産税の支払いはありません。相続不動産を売却するときに、売主と買主で固定資産税を月割で精算します。
相続放棄をする
亡くなった方に借金などあり、不動産を相続しても、相続する財産がマイナスのときは、相続放棄を検討しましょう。相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになり、固定資産税の支払い義務がなくなります。ただし、相続放棄は相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きする必要があり、全ての財産を放棄することになるため、注意が必要です。
リースバックを検討する
金融機関でお金を借りることが難しく、住み続けたい場合は、リースバックを検討しましょう。リースバックとは、自宅を売却して賃貸物件として家賃を払い続ける方法です。不動産会社が買い取るため、今後の固定資産税の支払いはありません。ただし、リースバックの売却価格は仲介に比べて安くなり、相場に比べて家賃が高くなる可能性があります。
まとめ
相続不動産の固定資産税は、1月1日に誰が所有していたかで異なります。固定資産税の金額は、納税通知書で確認しましょう。亡くなった時点で納税していないケースや準確定申告が必要なケースでは、固定資産税の支払いが節税に繋がることも。固定資産税の支払いが厳しいときは、役所や金融機関に相談しましょう。